宮崎のチキン南蛮発祥にはどんな諸説がある?

宮崎のチキン南蛮発祥にはどんな諸説がある?

宮崎のチキン南蛮発祥には、主に「延岡市の洋食店で原型が生まれた」という説と、「直ちゃん」や「味のおぐら」が現在の形として広めたという説があります。どの店を発祥店と呼ぶかは、原型の誕生、店での提供、タルタルソース付きの定着のどこを基準にするかで変わります。

チキン南蛮の発祥は宮崎県延岡市とされている

チキン南蛮は、宮崎県延岡市の洋食店を起点とする料理として知られています。昭和30年代後半から昭和40年代ごろに、鶏肉を揚げて甘酢にくぐらせる料理が作られたことが、発祥に関する共通した説明です。

ただし、「最初に考えた人」や「最初に商品として出した店」を一つに確定できる資料ばかりではありません。そのため、発祥をめぐって複数の説があります。

諸説の中心は「ロンドン」「直ちゃん」「味のおぐら」

発祥に関する話は、次の3つを分けて考えると整理しやすくなります。

説 内容 何を発祥とするか
洋食店「ロンドン」発祥説 延岡市の洋食店で、鶏肉を揚げて甘酢に浸す料理がまかないなどとして作られたとする説 チキン南蛮の原型
「直ちゃん」発祥説 ロンドンで生まれたとされる料理を、独立後の店でメニューとして提供したとする説 店で提供される料理としてのチキン南蛮
「味のおぐら」発祥説 甘酢にくぐらせた鶏肉にタルタルソースを添える形を広めたとする説 現在広く知られるスタイル

この3つは、必ずしも互いに矛盾するわけではありません。原型を作った店、独立後に提供した店、タルタルソース付きの形を広めた店を、それぞれ「発祥」と呼んでいる可能性があるためです。

ロンドン発祥説は「原型が生まれた場所」を重視する

ロンドン発祥説では、延岡市の洋食店「ロンドン」で、鶏肉に衣を付けて揚げ、甘酢に浸す料理が作られたとされています。最初から現在と同じタルタルソース付きだったのではなく、まずは鶏肉と甘酢を組み合わせた料理が原型だったという説明です。

この説を基準にすると、ロンドンは「最初のアイデアや調理法が生まれた店」、または「料理の原型が作られた店」と位置づけられます。

直ちゃん発祥説は「元祖として提供した店」を重視する

延岡市の「直ちゃん」は、チキン南蛮の元祖として紹介されることが多い店です。ロンドンで生まれたとされる料理を受け継ぎ、店のメニューとして提供したことから、直ちゃんを発祥店とする見方があります。

直ちゃんのチキン南蛮は、一般にタルタルソースを使わず、甘酢を生かしたスタイルとして知られています。現在よく見かけるタルタルソース付きの料理だけをチキン南蛮と考えると、発祥の説明を誤解しやすい点に注意が必要です。

味のおぐら発祥説は「タルタルソース付きの形」を重視する

「味のおぐら」も、宮崎のチキン南蛮を語るうえで重要な店です。甘酢にくぐらせた鶏肉にタルタルソースを添えるスタイルを広め、現在のチキン南蛮のイメージを定着させた店として知られています。

そのため、「チキン南蛮という料理の原型」ではなく、タルタルソース付きのチキン南蛮が広く知られるようになった起点を重視する場合は、味のおぐらを発祥とする説明が出てきます。

なぜ発祥店が一つに決まらないのか

理由は、発祥の定義が一つではないからです。たとえば、次のどこを起点にするかで答えが変わります。

  • 最初に料理のアイデアが生まれた時点
  • 店のメニューとして初めて提供された時点
  • 現在の名前で呼ばれるようになった時点
  • タルタルソースを添える形が定着した時点
  • 宮崎県内外に広く知られるようになった時点

料理の誕生では、試作やまかない料理の段階と、正式なメニューとして提供された段階が異なることがあります。チキン南蛮も、この違いによって「ロンドン」「直ちゃん」「味のおぐら」の名前がそれぞれ挙げられていると考えられます。

チキン南蛮の「南蛮」は何を意味する?

「南蛮」は、揚げた食材を甘酢に漬ける南蛮漬けの調理法に由来すると考えられています。チキン南蛮は、鶏肉を揚げ、甘酢にくぐらせる点で南蛮漬けと共通しています。

タルタルソースは、チキン南蛮に添えられる代表的なソースですが、発祥当初から必ず使われていたとは限りません。甘酢だけのタイプとタルタルソース付きのタイプがあることも、発祥説が分かれる理由の一つです。

結局、宮崎のチキン南蛮はどこが発祥?

最も整理された答えは、「宮崎県延岡市の洋食店で原型が生まれ、その後、直ちゃんや味のおぐらによって異なる形で受け継がれ、広まった」です。

一店だけを挙げるなら、原型の誕生を重視する説明ではロンドン、元祖としての提供を重視する説明では直ちゃん、タルタルソース付きの普及を重視する説明では味のおぐらが挙げられます。したがって、「どの店が絶対に発祥か」と断定するより、何を発祥とするかによって説が分かれていると理解するのが適切です。